相続税の申告の際には、資産額が大きい方のなかに占める不動産の割合は意外と多いです。
これはもともと地主であり畑や山林なども含めて所有し続けているケースのほか、バブル期には価格上昇を期待して不動産で運用していたというケースも多いことによっていると思います。
その背景にある考え方として、現金で持ち続けるより不動産で所有しておいた方が相続税の申告上では価値が低くなるという相続対策的な思考もあります。
10年ほど前にタワーマンションに投資する節税策が話題になり始め、多くの方が投資先として選択していたところですが、今年はその投資スキームについて最高裁判決において過度な相続税の節税となるケースにおける評価額の見直しは必要であるという帰結となり大変話題となりました。
もともと、このタワーマンションによる節税策が普及していた当時、研修ではこのような事態を予測して安易な対応や提案には十分気を付けていく必要があると講師の先生もはっきりと言及されていたことを思い出します。
本来の投資目的が別のところにもあればそれほど影響を受けずに済みますが、相続対策とした場合にはこの判決を受けて対応を迫られる状況になることと思います。
税法上の評価額と実際の時価が乖離しているという点が問題となりましたが、事前にそのような情報をどのように受け止めて申告していくかどうかは難しいところではありますが、
常々キャッチしていくべき税務申告におけるポイントであると思います。
今後もそのような論点を見出し、バランスを取り入れた検討を重ねていくことが大切であるといえるでしょう。
(2022年12月)