今年度に入り、成年後見の支援、普及啓もう活動の一環として無料相談会を定期的に開催しているなかで、少しずつ相談者と接することで傾向と対策が見えてきています。
特に独り身の方や、障害がある子を持つ親としての立場からの相談が多いことは言うまでもありません。両者ともに漠然とした不安はあったものの、その不安が顕在化するまでに長い年月がかかり、いよいよ自分の年齢もある程度となったところで相談したくなるという心境でないかと感じています。当然、自分が元気なうちは良いが、万が一病気になったら、不慮の出来事でも起こったらということを考えてしまうこともあるでしょう。
そのような心理状態になれば不安はより大きなものとなってしまうことでしょう。それでも明るく気丈に振舞われている方が多いことには驚きます。相談の内容としてはお金のこと、住まいのこと、遺言のこと、子の面倒、自身の葬儀やお墓といった死後のことなど、なかなか日頃気軽には友人などと話せても、真剣には相談することが出来ない分野ではないかと思います。
このような相談ごとからも、お金、資金の設計が必要であって、将来的なビジョンとして住まいやお墓、相続など早いうちから計画を立てておくことの重要性を感じざるを得ません。基本的にはある程度は誰しもが考えながら生きていることでしょうが、例えば紙に書く、数字をもとに計画するという原始的かつ論理的な面はなかなか出来ていない方が多いのではないかということです。
もちろん、机上の計画や計算がすべてではなく、人間は感動や感情によって行動するものであるところと言っていいでしょう。ただ10年先や20年先はすでにある程度は現状の延長線上にあると言ってもいいのではないでしょうか。すなわち、今の行動を変えたり、起こせば10年先あるいは20年先は違った形態を作り出していくことが出来るのが人間であるところです。
そのような自分自身の意思からの計画を支援するスキームは少しずつ整備されつつありますので、今時点の相談者の対応をさせていただきながらも、これから計画される方の備えにも対応してお手伝いしていく活動が大事であると思います。
(2018年10月)