令和5年度の税制改正では相続と贈与に関するものが大きく見直されました。数年前から予測されていたのですが、亡くなる前の数年間で資産を贈与して相続税を軽減させる対策に歯止めがかけられることになりました。
逆に、生前贈与についてはこれまでの制度の見直しということで、少しバリエーションが増え、相続時精算課税制度と暦年課税制度の2つの選択をより検討して活用していくように切り替わっていくことと思います。
やはり、これまでもそうではありましたが、今後も相続前の設計が肝心であり、ここを抜きにした相続で急遽対策することはより厳しくなるということです。一方、早い段階で設計している場合には、特に大きな問題ではないということです。
そして、設計ができていない場合には特に、いざ相続が発生した時には、何から手を付けて良いのかわからないということばかりになると思います。年金や役所の届け出や銀行の手続きなどは何とかしたものの、不動産に関しては全くわからず、遺産分割協議というのもどのようにしたらよいのかということになります。
この点についても前もって準備をしておけば、そうでない場合とは違い大分落ち着いて手続きをしていけるようになると思います。
私が実際に相続税の申告の代理を請け負っていく場合には、不動産については自宅以外の郊外に複数の土地を所有している事例は多く、相続発生後に現地を訪れ現況と資産価値を調査して確認をするようになります。近隣に一箇所ということでしたらそれほど時間と労力はかからないのですが、隣接県ではない地方に複数の不動産が所在している場合には、その評価のためにかかる時間はかなり多くを占めるようになるところです。
不動産も含めて、現況、実物をよく確かめて認識していくことが相続の際には重要であります。
これからの相続という点ではこのあたりを中心に設計や準備などをしておかれると良いのではないかと思います。
(2023年4月)