リーマンショックから約10年が経過し、空前の好景気となっていることは否めません。企業の利益は増加し、借入金は減少傾向であり、中小企業においても毎期決算対策に追われている状況であると言っていい状況にあります。
一方で小規模企業については、高齢化によるものが大きいところですが、廃業件数が増加傾向にあり、従業員数ともに減少しているのも事実です。これは大企業においても同様であり、企業と従業員は減少しており、中規模の会社のみ従業員と共に増加していることになりますし、ある業種は減少し、新しい業種が増加していることの表れであるとも言えるでしょう。
いずれにしても、元気な中小企業はここ数年間にわたり、かなりの好業績であるということは紛れもない事実であると言えます。そのようななかで多くの会社ではこのような好景気が決して続くとは思わず、実力で次のステージへ渡り、景気が傾いたとしても乗り切れるようにしていきたいという経営の舵取りをされているのが多くの経営者の実情となっています。
そのためにどのような観点で決算を迎えて、何をしておけると良いのかということになりますが、基本となることは、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源に対して先行投資の上、納税すべきは納税するということです。最終的には法人税を納税することによって、会社の財務体質が強化されてくるからです。ここまでは当然にご理解をいただき、実践されているという会社もほとんどでしょうが、その先の決算対策としてどのようなことが挙げられるのかという相談が常であるとも思います。
しかしながら、ヒト、モノ、カネ、情報のどれを取ってみたとしても、一つ一つ分解して掘り下げてみますと、結構いろいろな論点があると思います。ヒトについても、新規採用となれば多く獲得コストが生じますし、モノについても設備投資などであれば高額になりますし、そのための優遇措置の適用なども含めるとかなりの人的コストも発生していくことでしょう。このような経営資源をよく分解して検証した後の、あらゆる経営資源を組み合わせた次世代投資となる効果的な支出は決算対策以前に組み込んでいけると良いのでしょう。たとえば、IT投資もそのうちの一つと言えますし、自社ウェブサイトの構築も一つの統合的な対策と言って良いのではないでしょうか。
(2018年8月)